突然ブレーカーが落ちて部屋が真っ暗!という経験をしたことはありませんか?おそらくほとんどの方が、「電気を使いすぎてブレーカーが落ちた」という経験をしたことがあると思います。
しかしブレーカーは、電気の使い過ぎだけが原因で落ちるわけではありません。実は、漏電が原因でブレーカーが落ちることもあるのです。
今回は、「どういったときに漏電によってブレーカーが落ちてしまうのか」「漏電によってブレーカーが落ちてしまった場合はどうやって復旧したらよいのか」についてご紹介していきます。
漏電発生?ブレーカーが落ちるワケとは
まずは、漏電によってブレーカーが落ちる理由と仕組みについてご説明します。
漏電が起きる流れ
本来、電線などの電気の通り道は、人が触れると危険であるため、絶縁体でおおわれています。しかしその絶縁体に劣化や損傷がおこり、絶縁体としての機能がうまく働かないと、電気が本来の通り道(電線など)を外れてしまうことがあります。
すると電線を外れた電気は電気機器のケースなどに漏れ出てしまい、それを人間がうっかり触ってしまうと、感電してしまうのです。
漏電ブレーカーは、そのような漏電を感知すると落ちるように設計されているブレーカーです。人の命を守るために、強制的に電気の流れを遮断する役割を果たしています。
漏電ブレーカーが落ちる仕組み
漏電ブレーカーはどのような仕組みで落ちるのでしょうか。
漏電ブレーカーにある電気回路は、流れて行く電流と、戻ってきた電流の電流量が等しくなるのが通常です。したがって、もし行きと戻りの電流の値が異なっている場合、どこかで電流が漏れている可能性があるということになります。
行きと戻りの電流の違いを漏電ブレーカーが感知すると、漏電ブレーカー内に電圧がかかり、電流を遮断させるスイッチが動作します。これにより電気の流れは遮断され、漏電による事故を防ぐことができます。
主なブレーカーの種類
ちなみに、ブレーカーには漏電ブレーカー以外にもいくつか種類があります。落ちたブレーカーの種類によって、復旧の対応策も変わってきます。停電がおきたら、まずはどのブレーカーが落ちたのかを確認するとよいでしょう。
アンペアブレーカー
ご自身が契約しているアンペア数を超えて電力を使用してしまうと落ちてしまうブレーカーです。このブレーカーが落ちると、契約している範囲すべての電気の流れが遮断されますので、家中が停電してしまいます。
漏電ブレーカー(配線用遮断器)
どこかで漏電が起きている場合に落ちるようになっているブレーカーです。配線用遮断器ともいいます。事故を防止するために設置されており、このブレーカーも落ちると家中が停電します。
安全ブレーカー
分電盤から家の各場所に電気を送る回路があるのですが、その各回路の容量を超えて電力を使用すると落ちるようになっているブレーカーです。配電用遮断器ともいいます。回路は回路ごとに流れてよい電気の容量が決まっているので、その容量を超えないように制御しています。
回路ごとに設置されているブレーカーのため、落ちても家中が停電することはありません。容量を超えた回路に連動した場所のみが停電します。
漏電が起きる原因は?
漏電はどんな場合に起きるのでしょうか。ここでは、どんなことが漏電の原因となりえるのかをご紹介します。
電線に原因がある場合
まず考えられるのが、電線自体に問題が起きている場合です。たとえば細い電線コードを使用していると、電線の発熱によりコードをおおう絶縁体が損傷し、ショートしてしまうことがあります。また、ケーブルを結束バンドなどで束ねたまま使用していると、放熱しづらくなるため、発火につながるおそれがあります。
建物自体に原因がある場合
電線自体には問題がなくても、建物などに原因があることもあります。例えばコンセントの穴がゆるかったりすると、すきまにホコリがたまり、発火の原因になります。また雨漏りなどによってプラグやコードが濡れると、漏電が発生するおそれもあります。
その他にも、建物の老朽化によって、壁や床などに張りめぐらされている電線が劣化してしまい、漏電やその他の事故につながることも考えらます。
使用している電化製品自体に漏電が発生していることも…
電線や建物の劣化に気をつけていても漏電が発生することはあります。
たとえば、湿気の多いところで電化製品を使用していると、漏電してしまうことがあります。また、エアコンは外気に触れるため、漏電が発生しやすい家電のひとつです。梅雨の時期など、湿気が多いときはとくに注意が必要です。
そのほか、古い電化製品も、経年劣化のため漏電が発生しやすいと考えられます。漏電やショートが発生してしまった電化製品は、そのまま使い続けることはできません。修理や買い替えが必要となります。
ブレーカーが落ちた時の対処の仕方
ブレーカーが落ちてしまったら、復旧をおこなう必要があります。ブレーカーは「分電盤」という箱の中に入っています。自宅の壁の高い位置などに、蓋つきの分電盤が設置されているのを見たことはありませんか?
ここではブレーカーが落ちてしまったときの分電盤の操作方法についてご紹介します。
ブレーカーを元に戻す方法
漏電ブレーカーを元に戻す手順は以下のとおりです。
<手順1>一度すべての安全ブレーカーを切る。
「入」「切」の中間で止まっているものも含め、一度すべて切ります。
<手順2>サービスブレーカーを入れる。
<手順3>漏電ブレーカーを入れる。
復帰ボタンがついているタイプの分電盤であれば、それを押します。その後、漏電ブレーカーのつまみを上げます。つまみが上がらないときは、一度下げてから、もう一度上にあげてみてください。
<手順4>安全ブレーカーを1つずつゆっくりと入れる。
あげている途中で漏電ブレーカーが切れた場合、その安全ブレーカーの回路だけは切ったまま(下げたまま)にします。その回路は漏電や故障のおそれがありますので、修理業者に修理を依頼する必要があります。
なお復旧方法に関しては、分電盤の種類や電力会社によって異なる場合があります。事前に確認しておくようにしましょう。
戻す途中で落ちる場合は漏電原因の可能性あり
上記の手順で、安全ブレーカーを上げている途中に再度漏電ブレーカーが落ちてしまう場合は、動かした安全ブレーカーに連動する回路において漏電が発生している可能性があります。その安全ブレーカーにひもづく電化製品などが漏電の原因かもしれません。
漏電してない場合でもブレーカーが落ちることもある
漏電ブレーカーが落ちたからといって、必ずしも漏電しているとは限りません。たとえば梅雨の時期など、室内の湿度の上昇によってブレーカーが落ちてしまうことがあります。また、コンセントに刺さっているプラグがしめってしまっている場合もブレーカーが落ちる原因になりえます。
漏電ブレーカーが落ちた場合は、電化製品のプラグがしめってしまっていないか、室内の湿度に問題はないか、確認するようにしましょう。ただし感電を防ぐため、確認作業は必ず電源やブレーカーを切った状態でおこなうようにしてください。
無理に対処をしない
ブレーカーは分電盤のスイッチだけで簡単に元に戻すことができてしまいますが、扱い方を間違えると命にかかわる危険性もあります。漏電箇所をざっくり把握するだけならよいですが、漏電箇所の特定や修理作業は、漏電修理のプロにお願いするようにしましょう。
「いますぐに電気が復旧しないと困る!」という方も、自力での対処は危険をともないますので、無理におこなわないようにしてください。
まとめ
さて、今回は以下の点についてご紹介してきました。
・漏電とはなにか
・漏電ブレーカーが落ちる原因
・漏電ブレーカーの復旧方法
漏電の怖さや、漏電ブレーカーの必要性は感じていただけましたか?漏電は事前に対策できることも多いので、これを機に自宅の電化製品を点検してみるとよいかもしれません。