私たちの身の回りは電化製品でいっぱいです。感電事故は工場や工事現場で起こるイメージがありますが、家庭でも起こる可能性は十分にあります。もし、感電してしまったらどうなるのでしょうか。
感電と聞くと、なんだかおそろしいイメージがありますよね。あの、冬にバチバチっとなる「静電気」も、小さな感電といえます。静電気は電圧が数ミリアンペアといわれており、痛いですが、害はありません。
しかし、電気の量がもっと大きくなるとどうなってしまうのでしょうか。今回は、感電してしまったときに備えて基本的な予備知識をご紹介するとともに、感電の予防対策をまとめてご紹介していきます。
感電はなぜ起きる?そのメカニズムを解析!
人体に電流が流れることを「感電」といいます。感電が起こると電気の量や電気が流れる時間が悪いと、最悪の場合一瞬にして命を落としてしまいます。
そもそも、感電とは、「人体に電流が流れてショックを受ける状態」をさします。感電のケースは3つあります。
(1)電気が通っている電線や電子機器が人体に触れた場合
(2)漏電した電化製品を触ってしまった場合
(3)2本の電線に同時に触れてしまった場合
一般的に、感電の事故で多いのは(1)といわれています。しかし、一番危険なのは(2)の漏電した電化製品を触ってしまった場合です。
私たちは、どの電子機器が漏電しているかをパッとみただけ判断する力はありません。そのため、漏電しているものに間違えて触れてしまったら怖いですよね。漏電による感電の事故は、誰にでも起こりうるため注意が必要です。
感電したら人の体はどうなるのか
感電について知ってほしい大前提が3つあります。感電によって被害をどのように受けるかは、次の3つの要因によって決まります。
(1)電気が心臓を通ったか
(2)感電している時間の長さ
(3)体に流れる電気の大きさ
この3つが重なると被害が大きくなるといえます。では、実際にどれぐらいの電気が流れると人の体は危ないのでしょうか。
1mA=ピリッとくる程度
5mA=結構いたい
10mA=耐えられないほどの痛さ
20mA=筋肉が激しく収縮し、自分から感電を引き起こしている物体から離れられない
50mA=短時間でも死に至ることがある
100mA=致命的な結果になる
ちなみに、一般的な触ると電気がビリっとなる「ビリビリペン」が2mAといわれているそうです。そう考えると、100mAの怖さが改めてわかるかと思います。
もし、感電してしまうと、不整脈、毛細血管の損傷がおこり場合によっては後遺症が残る危険性もあるため、注意が必要です。
皮膚にやけどのような症状がみられる場合や、血液が上手く巡っていない場合には、電圧を逃がす特別な治療が必要になってきます。
万が一、感電してしまい症状が重くなってしまった場合には、ただちに、医療機関で診てもらうことが大事でしょう。場合によっては、救急車を呼ぶ必要があります。
「感電したら」の心配を無用に!感電防止法
感電の危険性は非常に高いものであるとご理解いただけたと思います。では、感電を防ぐためにはどのような対策を取ればいいのでしょうか。
濡れた手で電気器具に触らない
身体や手が水にぬれていると電気が通りやすくなります。とくに、電源プラグのコンセントへの抜き差しを濡れた手でおこなうのは危険です。
水は電気を通すので、直接手が触れなくとも、手についた水がコンセントとプラグに触れると水が原因で感電してしまいます。濡れた手で、電化製品を触ることはやめましょう。
アースをつける
漏電を予防するためには、「アース」と呼ばれる感電事故を防止する接地を取りつける必要があります。とくに、洗濯機や電子レンジなど水を扱う電化製品は、何もしないと感電の危険性があるので注意が必要です。
また、古くなったアースは性能が劣化し、電気が漏れて人体へ影響をもたらすこともあります。アースの設置作業中に感電が起きる場合があります。
また、作業を中断する際には溶接棒ホルダーの取扱いに気をつけましょう。発汗が多い夏場に作業する際は、服装に注意しておこなうことも大切です。
傷んだプラグやコードに気をつける
屋内の配線や電化製品は電気が漏れないようになっていますが、プラグやコードが傷んでいると漏電が起こります。
この漏電によって感電事故や火災の原因にもつながります。破損している箇所を見つけた際には、はやめに交換、もしくは修理に出しましょう。
災害時に電線が切れていても触らない・近寄らない
災害時に電線が切れるといった場合があると思います。そのような場合には、電線を触ろうとはせず、周囲の人へ知らせましょう。
漏電遮断器や、遮断機つきコンセントを設置する
漏電遮断器は取りつけた部分以後の配線や電化製品に破損などが生じて漏電した場合に、電気を遮断し、災害の発生を防いでくれる安全装置のことです。
これは、電気工事が必要ですが、漏電事故が起こることを考えたら設置するべきですよね。他にも感電を防止する、優れたアイテムをご紹介させていただきます。
もっと詳しく!感電事故を防止する優れたアイテム
感電事故を起こさないために、日常的に気をつけるということも大事ですが、最も有効な手段は、ブレーカーという電気の流れを自動的に遮断してくれる仕組みを、活用することです。基本的に、どの家庭にもブレーカーの設置義務というものはあります。
たとえば、家で電子レンジ、炊飯器、ドライヤー、テレビなどをいっぺんに使ってしまうと「バチン!」といって、すべての電化製品の電気が消えてしまうことがありますよね。その正体がブレーカーなのです。
実は、ブレーカーにもたくさんの種類があるのです。ここからは、ブレーカーのいろいろな種類についてお話していこうと思います。
漏電遮断器(漏電ブレーカー)
漏電事故を防いでくれるブレーカーです。漏電ブレーカーを点検することで、どの器具が漏電しているかを見つけることができます。
漏電遮断機つきコンセント
漏電遮断器はもともとブレーカーの種類のひとつです。コンセント型の遮断機は、差し込んだものへの電気のみを遮断します。そのため、家の電化製品の機能がすべて遮断されるということはありません。
コンセント型の遮断機は小さな電流の漏れを感知することができるため、安全性が高いです。そのため、感電時のリスクが大幅に下がります。
アンペアブレーカー
アンペアブレーカーとは、電力会社との契約で使用電量が契約分の量を上回ると、電気の流れを遮断する仕組みになっているものです。電気を使いすぎることを防止してくれます。
安全ブレーカー
安全ブレーカーとは、分電盤から各部屋へ電気を送る分岐回路のそれぞれに設置されています。他のブレーカーと違って回路ごとにブレーカーが落ちます。そのため、家全体ではなく、一部が停電するという特徴があります。
まとめ
私たちの身の回りはたくさんの電化製品であふれています。感電のケースで一番注意したいのが「漏電した電気機器を触ってしまった場合」です。電気が漏れているかは、目視することができません。そのため、感電する前に予防することが大事です。
感電してしまうことによって、後遺症が残る場合もあります。感電した場合にはすぐに医療機関に診てもらうことが大事ですが、それ以上に感電が起きない環境作りが大事だといえるでしょう。
漏電を防止するためには、アースというものをつけると漏電を防ぐことができます。漏電遮断器の取付けやアースの工事などには、電気工事士の資格が必要です。
ブレーカー自体が老朽化している場合や、契約アンペアの変更が必要な場合にはブレーカーを交換する必要があります。老朽化しているまま使用すると、漏電していてもブレーカーが落ちないといったことがあるからです。
そのような状態になる前に、ブレーカー交換の時期を迎えたら早めに交換しましょう。ブレーカー交換やアースの工事の際には、業者に依頼することを検討してみてはいかかでしょうか。