雷は感電によって人に死をもたらしたり、家庭で使っている電化製品をこわしてしまうこともある危険なものです。雷による被害はあまり日常的に意識することはありませんが、じつは誰にでも起こりうる身近なものでもあります。
そんな雷による被害を防ぐためには、どのようなことに注意すればいいのでしょうか?
今回の記事では、雷が持つ性質や雷の基礎知識、落雷によって生じる高電流「雷サージ」からの感電を防ぐために日常的にできる予防法について解説していきます。
雷の基礎知識
はじめに、雷の基礎的な知識について理解しておきましょう。雷の性質を理解しておくことは、適切な避難方法や雷による感電を防ぐときにも生かすことができるからです。
雷は雲のなかにある氷の粒がぶつかることによって生じる「静電気」です。雷が発生する元である積乱雲は、太陽の熱によって暖められた地上の空気でできています。積乱雲はだんだんと高度を上げていきます。
高度が上がると同時に大気の気温も下がっていき、上に登った雲の水滴は氷になります。このときできた氷が今度は上から下に落ちていき、登ってくる氷の粒と当たります。ここで生じる静電気によって雷は発生するのです。
雷の発生時期
雷は時季を問わず1年をとおして発生しています。一般的には6月~8月の夏場には関東や中部、近畿地方に雷は多く発生しており、12月~2月の冬場には日本海側での雷の発生率が高い傾向があります。
落雷による被害
雷による被害には、直接電気施設や人体に落ちて感電するもの、落雷によって生まれた異常な電圧の高電流「雷サージ」が原因になり家電を破壊してしまうケースなどがあります。
雷サージは、建物に直接の落雷がなくても電線をつたって屋内に侵入し、家電を破壊してしまうこともあります。家電にたまった雷サージにより感電することもあるので、とくに注意が必要です。雷サージについては次の章で詳しく解説しています。
夏季雷と冬季雷の違い
同じようにみえる雷ですが、じつは夏の雷と冬の雷では性質が違います。夏に発生する雷は雷を発生させる積乱雲が高く、広い範囲にわたり長い時間継続して発生するのが特徴です。夏の雷は太平洋側に多く、時間帯で見ると午後から夕方にかけて発生する傾向があります。
冬場の雷を発生させる積乱雲は、夏の積乱雲に比べて低く小さいのが特徴です。冬場の雷は夏の雷に比べると数は少ないですが、雷の持つ電気の量は多くなっています。冬場の雷は時間を問わず発生していて、日本海側に多いといわれています。
雷サージの種類について知っておこう
雷サージとは、落雷の際に発生する異常な電圧の過電流のことです。たとえば、落雷があったときに家電に触ってしまい感電したという話を聞いたことがある方もいるでしょう。この感電の原因になっているのが雷サージです。「瞬間的に生じる高電流」と言い換えた方がわかりやすいかもしれませんね。
雷サージは感電の原因にもなりますし、電気を供給しているコードや電話線をつたって屋内に侵入し、家電やパソコン機器を故障させる原因にもなってしまいます。
ここでは、そんな雷サージの3つの種類について解説していきます。
雷の直撃!直撃雷
電気設備や物体、人体に直接雷が落ちることを「直撃雷」といいます。直撃雷は雷サージのなかでも一番威力があるものです。直撃雷を受けると、家電やパソコン機器を守るために使う製品「雷ガード」がついていても、故障を防ぐことはできないといわれています。また、人体に落ちた場合には死に至ることもあるほどです。
近くに雷が……!誘導雷
近くに落ちた雷が電線を通じて生じるのが「誘導雷」です。雷サージのなかでは最も多いケースで、直撃雷よりも威力は弱いとされています。家電製品は、雷サージをガードする製品がついていれば守ることは可能です。
大気中から伝わる?侵入雷
避雷針や電柱などに雷が落ちた際に生じる雷サージです。電線からではなく大気をつたって侵入する雷サージです。
雷サージによる被害は、落雷の際には身近なものであると言えます。これらの知識を知って正しく対策をすることで、雷サージによる被害を防ぐことができるでしょう。
次の章では、日常的に注意したい雷サージに感電しないためのポイントをいくつか紹介していきます。
雷サージの被害に合わないためには?
雷サージからの感電や被害をおさえるためには、雷の性質を知ることが重要です。雷サージを避けるためには、雷が発生した場合すぐにその場から距離をとるようにしましょう。また、直撃雷などの雷サージを避けるために、高いものがある場所や広い場所には近づかないようにしましょう。
雷が鳴り始めたら、どこに避難すればいいのか?
雷が鳴り始めたら建物のなかに避難し、壁から離れるようにしてください。壁から離れるのは、もし建物に直撃雷があった場合、壁に流れる電流に触れないためです。
自動車のなかに避難する
雷が鳴っているときには自動車のなかに避難するのも有効です。このとき車の金属部分には絶対に触れないようにしましょう。
雷が鳴ったらやってはいけないこと
雷が鳴り始めたら、傘をさすのはひかえるようにしてください。雷は高い所に落ちる性質がありますので、傘が避雷針の役割になり雷が落ちやすくなってしまいます。釣り竿などの長いものを持つことも避けるようにしましょう。
また、自転車やバイクに乗ることも避けてください。自転車やバイクに乗ることで立った状態よりも高さがでてしまい、雷が落ちやすくなってしまいます。
雷サージから電化製品を守ろう
雷サージが発生すると、電線をつたって異常な高電流がコードや電話線をつたって電化製品に侵入してきます。雷サージの影響で電化製品が壊れるのを防ぐために、いくつかできる対策法があります。ここでは、雷サージによる被害を受けずに電化製品を守る方法について解説していきます。
コンセントをプラグから抜こう
雷サージは電線をつたい屋内に侵入します。雷サージの影響を電化製品に与えないために最も確実な方法が、電源のコンセントを抜くことです。もし雷が鳴り始めたときに家にいるようであれば、電源のコンセントを抜くようにしましょう。
雷ガード用品を使ってみよう
雷サージを防ぐためには、雷から電化製品を守る製品を使うのも有効です。雷をガードする製品は「サージアレスタ」ともいわれていて、サージアレスタを設置することで雷サージによる家電製品の故障を防ぐことができます。サージアレスタを取り付ければ、留守にしているあいだの雷対策も万全といえるでしょう。
電気の逃げ道を作ってあげよう
アースを使って電気の逃げ道を作ることで、雷サージによる電化製品の故障を防ぐこともできます。アースとは「地球」を意味する英語です。電化製品から伸びるアース線を、コンセントにあるアースにつなぐことで電気を地面に逃がす働きをします。
まとめ
ここまで雷や雷によって生じる雷サージでの感電や、電化製品を守る方法について解説してきました。雷は発生する時期や季節によって、その性質が変わります。
雷サージとは、落雷の際に生じる異常な高電流のことです。雷サージにはいくつか種類がありますが、そのうち最も発生しやすいのは「誘導雷」です。誘導雷から電化製品を守るには、雷の被害をおさえる雷ガードの製品を使用するようにしてください。
雷は高い場所に落ちやすく、広い場所に立つものに落雷しやすいという性質もあります。雷が鳴り始めたら距離をとり、建物や車のなかに避難するようにしましょう。
雷や雷サージは、私たちの暮らしのなかでも身近なものです。雷の性質や雷サージによる被害の防ぎ方を正しく知って、生活に活かしていきましょう。